抜いちゃダメ?

こんにちは、工場です。

なんだか一気に冬が来ました。

突然ですが、東京の巣鴨というところに、高岩寺という病気平癒で有名なお寺さんがあります。地元では「とげぬき地蔵」と親しまれているお寺さんで、身体が弱かった私は、子供の頃よく連れていかれました。

今は布になっていますが、当時はタワシで自分の悪いところを清めるというか洗って?いました。ちなみに「とげぬき地蔵」ですが、願いをこめて洗う用のお像は、お地蔵様ではなく観音様です。お地蔵様では寸胴すぎて、どこが腰だかヒザだかお腹だかわからないからでしょうか?

そのお陰か、今こうして元気にフレームを作っていられますので、ありがたいことです。

さて所かわりまして京都の西陣には、とげどころかもっと太い、釘を抜く「釘抜き地蔵」なるお地蔵様がいらっしゃいます。石像寺というお寺さんで、絵馬も八寸釘と釘抜きがモチーフのインパクトあるビジュアルです。

id208img0002 これです。

「苦を抜く」から転じて釘抜きとなったようですが、人生の苦難をばんばん抜いてくれそうな頼もしさを感じます。

いやもう、フレームづくりが辛くて…という話ではなく、古いラレーをお預かりして芯だしをしながら思い出したことでした。

古いフレームで、特に海外のものは、仮付けを「ピンうち」と言って、ピンで仮止めをしています。仕上げをしてあるので、表からはほとんどわかりません。

ですが裏を見ると…

DSC_2181 肩とコラムが貫通されています。

ピンというか、もう丑の刻参りの五寸釘なみのオーラを感じます。日本人ならこうした見えないところも仕上げるのでしょうが、海外はこうした点はけっこうお構いなしでやりっぱなしです。

ロウ付けが終わっているので、処理をしたとしても問題はないのですが、職人の作業風景が見えるようなこうしたものは、人生の苦難と違って抜かない方が楽しいですね。

塗り分け

こんにちは、工場です。

ニュースでは、パンダがどうしたこうしたと何かあるたびに大きな話題となっています。

その一方で、熊出没注意!という熊を悪者視するようなニュースも流れ、ちょっとした塗り分け具合で大きな処遇の違いとなっています。もちろんそれだけではないでしょうけど。

フレームの塗り分けも流行に関係なく安定した人気です。ただ、どこで切るかは難しく、人によって好みはバラバラです。

このようにしてほしいと、言われたのがこれです。

DSC_2163 きれいな塗り分けです。

ですがこれはラグも何もないつるっとしたフレームなので、このようにできますが、ラグドフレームのようにあちこちボコボコ凹凸がありますと、そう簡単にはいかなく、このようになりました。

DSC_2152 ちなみにグリーン部分は、注文者の好みでターコイズグリーンに変わりました。

ラグの中まできれいに真っ二つに塗り分けるというのは、すごく難しく、さらに出来上がりもちょっと違和感がありますので、このようにラグ部分は黒と少しデフォルメされました。個人的にはこちらのほうが好みです。

DSC_2149 DSC_2148 DSC_2151

うん、すっきりしてステキですね。ちょうど半分ではなく、グリーンが3分の1というのもちょっとオシャレな感じがします。

フレームは色々な塗り分けパターンがありますが、パンダは突然変異で別の模様になることはないのでしょうか。顔は普通の熊顔で、頭のあたりに10円ハゲのように黒丸があったら、とたんに違う扱いになるのでしょうね…。

塗り分けってカッコイイ!のイメージがつくぐらい、このフレームが大活躍できることを祈るばかりです。

 

 

 

夏の終わりは……終わっちゃいましたね。

こんにちは、工場です。

本当にお久しぶりです。確か去年のこの時期もそうでしたが、今年も恐ろしい忙しさに追われ、すっかり時間が空いてしまいました。

これ剥げ~!などと冗談なタイトルから1ヶ月。元ネタ?の豊田氏は復活して街頭演説をし、秋の虫の声は深まる寒さに弱弱しくなり、うちのペットのウサギたちは冬毛にむかってせっせと換毛中と、しっかり季節は動いています。

ですが工場といえば、相変わらず督促の電話に頭を下げ続け、そしてしている作業は…

DSC_2095 こちらが

DSC_2098 こんなになりました。

というぐらい、季節に関係なくただただ作業です。

泳げたいやきくんの ♪毎日毎日ぼくらは鉄板のぉ~のように、♪毎日毎日ぼくらは定盤のぉ~、な日々です。このご時世にありがたいことですが。

そんな中に、ちょっと刺激的?なニュースが。

あるテレビ局から番組出演の申し出が!しっかりと確定しましたら、番組名などは、後日ここでまた書こうと思います。一応工場がクローズアップされるようです。

以前あったオファーは「さえない地味な工場勤めの女性が、プロのスタイリストの手で驚きの変化を!」という、オーダーフレームはまったく関係ないような失礼な気もするものでしたので、内容が確定するまで油断できません。

工場の作業をアピールできるような吉報であることを祈ります…。

このハゲ~!ではなく、これ剥げ~

こんにちは、工場です。

前回「ぎっくり腰」になったことを書きましたが、こんな時に限って腰に負担がかかる作業ばかり舞い込んできます。腰は本当に何をするのにも要ですね。

先日、さらに腰をいじめる作業依頼が増えそうな、こんなムック本がえい出版より出ました。

DSC_2080 このテの本は一体何冊目でしょうね?

これだけ出版されるということは、やはりクロモリの人気がある証拠なのでしょうか。それにしてもよくネタがあるものだと感心します。

以前も少し書きましたが、クロモリフレームの強度は永遠ではありません。必ず劣化します。どうぞそれを忘れないでお楽しみくださいね。

そして少しでも違和感がありましたら、プロに判断してもらってください。

ちなみにもし、岩井商会へ持ち込まれるようでしたら、お手数ですがいらっしゃる前にご一報ください。競輪場へ行って留守にしていたり、作業中でしたりと、せっかくいらっしゃってもお話できないこともありますので。

ご自分で何もかもしたい!という趣味人な方は、気温が暑いうちに是非済ましておいたほうがいい作業があります。

DSC_2081 それは剥離です。

気温が高いほうがやりやすい作業です。

この本には「ビニール手袋、ゴーグルを装着しよう」と、小さい字でこっそり書いてある程度ですが、剥離剤は本当に気をつけてください。

試しに「剥離剤 危険」とかのワードを検索すると、剥離する気がなくなるような危険なことがたくさん出てきます。

新聞紙を下に敷けば大丈夫でしょ?なんて甘く見てはいけません。

その新聞紙にしみ込んだ薬剤は、アスファルトも溶かす勢いです。私は、室内でするとキツイので屋外でしていましたら、いつのまにか道路が…ハゲ~

ちなみにフレームの剥離は、お店に出すと7.000円~10.000円とられます。

作業されたことがない方は「え~?そんなにするの?」と、驚かれますが、したことがある方は、ほとんど何も言いません(笑)。

その意味は…どうぞお試しください。

しつこいようですが、くれぐれもお気をつけを!

形にはなるけれど……

こんにちは、工場です。

朝、目が覚めましたら、突然右半身がまったく動かなくなりました。それでも無理矢理動かすと、激痛で動けません。

ベッドから起き上がるのに20分。立つことはできても歩けません。

確かに最近ロウ付け後に右側がしびれていました。ですので、仕事のストレスか、夏の疲れか、それとも…認めたくないですが加齢か、いずれにしても生ける屍で、職場でもきびきび動く若いスタッフの足手まといです。

人に伝えるのに、適当な病名が思い浮かばないので、とりあえず「ギックリ腰」と言っていますが。もう本当にただ形だけのビルダーです。

今回はそんな「形だけの」にまつわる話です。

お店のスタッフのA君が、レースで落車をして、大切な自転車が破損してしまいました。

DSC_2086 シートチューブと

DSC_2084 シートステーです。

クロモリでしたら、先日私が作業していたようなことで修復できるのですが、とは言っても、たとえクロモリでも前と同じパフォーマンスは出ません。

それが、緻密な剛性計算をされた高級カーボンフレームならなおのこと。

例え修理したとしても、表面上「形になった」というだけで、以前のパフォーマンスとは程遠いものがあります。

これを私の先輩に見せたところ、「カーボンフレームのパフォーマンスというのは、フレームの中においての『剛性の連続性』が、そのメーカーが言うバランスと特徴なのだから、直した箇所でそれが途切れてしまうワケだし、直すという行為自体がナンセンスなのでは」と。

お、カッコイイ表現、さすが先輩。今後いただきましょう。

冗談はさておき、確かにそうです。ここでその破損箇所だけガチガチな修復をしたら、その連続性は得られないのです。悲しい現実ですが、これはもうフレームの形はしていますがフレームではありません。

とはいえ、男性はモノに対して思い入れが強い方が多いので、例え形だけのなんちゃってでも直したいという方はいらっしゃるでしょう。

でもどうか、決して安くない修理費用を払う前に、メリットとデメリットをしっかり天秤にかけてみてくださいね。

生ける屍の私も、会社からデメリットと思われないうちに、早く復活しませんと!

平安賞 at 向日町競輪場!

こんにちは、工場です。

1日しっかり働き、帰宅して「ふぅ~」っと一息ついて、ポストを見ると…

DSC_2083 仕事に戻されるチラシが。

そうです。31日から地元の向日町競輪場では、年に一度の記念競輪(GⅢ)が開催されます。

私は、「検車場」という一般の方は立ち入禁止の、選手の自転車が置いてあるところにいますので、観客席に行くことはありません。ですから、こんなお祭り状態はうらやましいです。検車場はレースのピリピリで緊張感あふれていますから。

お祭りだけではなくもちろんレースも、全国の一流レーサーが集まりますので、やはり見ごたえがあります。

決勝戦もいいのですが、その前日の決勝をかけた準決勝もなかなか迫力があります。

どうぞご覧ください!

修理・修正というか…②

こんにちは、工場です。

関東は今日あたりから、夏の暑さが戻るようですね。

お身体にお気をつけくださいね、と言いつつ、心の中では「ははは、ザマミロ。この苦しみ思い知れ~」と思っている、ずーっと猛暑地獄の関西人は私だけではないはずです。

そんなイジワルになる程、京都は息をして、肺に入ってくる空気さえこたえる暑さです。

そんな中、完全防備で進めていますバックの取替え作業は、BBにコマを進めました。

こちらも最もダメージが少ないやり方は、金ノコで切断して、リューターをかけてBBの中をきれいに削るのですが、ロウ付けのダメージがそれほどでもないフレームですので、今回はあぶって取ってしまいましょう。

塗装してあるフレームをそのままあぶれば、塗膜に火がつき、もちろん大変なことになります。

料理と一緒で、下ごしらえの手間を面倒がると、大惨事になるのです。

DSC_2053 まずBB周りの塗装を取ります。

ワイヤーブラシでバンバンいきましょう。

下ブリッジ一体型のBBですので、こちらは金ノコでブリッジを切断してしまいます。そのほうが作業がやりやすいということもありますが、何度も火を入れて弱ったBB周りにカッチリ感を出すために、次は別体のしっかりしたブリッジにします。

DSC_2052 手は紫の粉まみれです。

これであの完全防備の意味がおわかりいただけましたでしょうか。あのようにしなければ、身体中、髪の毛の中まで塗装の粉で大変なことになるのです。

こちらも細かい所は手作業でやすりをかけまして…と。さて塗装が取れましたら、ダダッとあぶって抜いて、仕上げます。

DSC_2060 はい、完了です。

この後は、いつもの手順でチェーンステー、シートステーをロウ付けして終わりです。

ですが、一度火を入れていますので、2回目は火口も小さくし、ロウ棒も真鍮から銀に替えてダメージを少なくします。

差し替えをしますと、「え?差し替えだけなのにそんなに高いんですか?」とよく言われますが、実は差し替えはイチから作るよりずっと手間がかかるんです。

なのでご請求します金額は、材料費ではなくほぼ手間賃なのです。そこをご理解いただけますと、作り手としては報われる思いです。

こんなに身体に悪い作業を一生懸命しているのですから、あまり値段が高い高いといじめないでくださいね~。

 

修理・修正というか…①

こんにちは、工場です。

少しブログが空いてしまいましたが、決してロングバケーションを取っていたわけではなく、かなり忙しくなっております。

余裕があるとネタ的な話題ですが、今回はまるでありませんので直球勝負の修理風景です。

さあ、参りましょう!

DSC_2054 気合十分?この暑いのに完全防備です。

やる作業はバックの差し替えです。トップチューブ差し替えぐらいなら聞いたことがありますでしょうか?

競輪は後ろから突っ込まれることも多いので、バックがグチャグチャになって、差し替えというか取り替えることが多々あります。今回もそれです。

もう後ろ半分は別物になりますので半魚人状態というか、とにかくいい意味でも悪い意味でも、以前と同じものではなくなってしまいます。

DSC_2049 まず切断します。

トップチューブをやるように、火であぶってとってもいいのですが、シートラグはただでさえ前三角の時1回、シートステーをつけるのに1回と合計2回も火をかけられています。その上、とるのにあぶって、つけるのにあぶったらもう…

ということで、負担の少ないやり方にします。手間はかかりますが、フレームのことを考えるとそんなことは言ってられません。

DSC_2048 ノコをギコギコ。「ささのは」の先っぽだけ残りました。

DSC_2050 これをサンダーなどで削り、微妙なところま来ましたらあとは手で。

DSC_2051 はい!きれいにいきましたね。

4コママンガのようにさっさとしているようですが、まぁまぁ大変です。

塗装膜も飛ぶので、作るのとは違う苦労と臭いがします。

さて、次回はBB側、チェーンステーを取りましょう。

 

豊橋競輪場

こんにちは、工場です。

世の中はお盆休みのようですが、工場は本日も稼動しています。

お盆が終わると夏も終盤という雰囲気になりますが、昨年も10月入っても30度を越えていた京都は、まだまだ夏真っ盛りの暑さでしょう。

さて、お盆が終わって8月19日からは、愛知の豊橋競輪場で記念競輪(GⅢ)が催されます。

競輪場は全国にありますが、この豊橋競輪場はなかなか個性的ですので、ちょっとご紹介を。

JR豊橋駅を降りて、昭和の雰囲気漂う路面電車に乗って行くと着きます。正門は昭和30年代の駅舎を模した造りなので、これまたノスタルジーな雰囲気です。

競輪場には、開催を告知するポスターが貼ってあるのですが、このポスターが豊橋は独特なんです。すべて何かのパロディーになっています。

wallpaper10_s[1] これはちょっと前のものですが。

そう、映画「青い山脈」を元にしたものです。人の配置も同じです。こういったものを題材にする時点で、競輪場のお客さんの年齢層がわかります。

ちなみに青(水色=4番車)が3着になると、ちょっと配当はあがると思います。

wallpaper24_s[1] 次は「太陽がいっぱい」です。

タイトルの字体もなかなかです。ちなみにポスターに使われているモデルは、ほとんど選手の場合が多いです。アランドロンというより、シルベスタスタローンの雰囲気ですが…。

左上にあるKEIRIN SOLEIL(太陽)など、芸が細かいですが、「太腿」がいっぱいって…。

wallpaper32_s[1] 太腿の次はウエストです。

さすがプロ選手、股関節が柔軟です。ですがもう何を伝えたいかよくわかりません。

これらは原作に許可は取ってないんでしょうねぇ…。

wallpaper109_s[1] これは割りと好きです。

「男はつらいよ」にかけた「自力」はつらいよです。縦書きでないと活きないポスターです。

自力=脚質では「逃」と書かれ、ラインの先頭の風をきって走る選手です。本当に大変なポジションですが、それだけに強いと本当にカッコイイです。

これはまだまだ一部です。他にも色々なパロディーポスターがあり、ダウンロードも可能になっています。

お盆の東名高速は50キロを越す渋滞とか。どうぞイライラせずに、豊橋競輪のホームページでものぞいてください。

隠す美学

こんにちは、工場です。

立秋をあざ笑うかのような暑さが続いておりますが、お元気でいらっしゃいますか?

さて、用事がありまして京都駅に行きましたら、どこ行きか知りませんがこんな列車が…

恐らく甲賀(滋賀)か伊賀(三重)に行くのでしょうね。

DSC_2004 DSC_2005

「忍び電車」というみたいです。ニンジャの隣にあるクハなんとかという列車識別番号も、何やら別の意味がありげに見えます。

DSC_2008 まったく忍んでないハデさです。

「弱冷車」プレートや「開閉スイッチ」(田舎や寒冷地は自分たちで扉を開け閉めします)という電車本来の機能のほうが埋もれてしまって、よっぽど影の存在であることを余儀なくされています。

忍者は今ではなぜか堂々と市民権を得ていますが、日本には昔より、隠すことや「裏方」をひっそり愛でる文化がありますよね。

着物の裏地に凝ったり、死語でしょうが女性の奥ゆかしさでしたり、「表に出さない美学」というものがありました。

クロモリの世界でも、いまだに根強い人気が「内蔵工作」です。

最新のカーボンフレームでは当たり前のようになっていますが、クロモリの世界では「ワンランク上の凝ったつくり」のイメージが強いです。

ですがこの工作、実は物理的にフレームにはあまり良くないのです。

DSC_2045 これがフタです。

フタが小さくても大きくても、かなりの「大穴」をフレームに開けることになります。そうしないと組みつけのときに大変だからです。

あまりにギリギリなことをすれば、ケーブルに無理がかかり、最悪「常にブレーキがかかった状態」を作り出しかねません。

中のケーブルの「通り道」も、何もしない方もいますが、ストローのような鉄製リードをつけるビルダーも多いです。このリードが、内蔵工作で一番多いトラブルの固着の犯人です。

こまめな手入れをしていただければ問題ないのですが、そうではないとケーブルとこのリードが、あっという間に固着してしまいます。

「表に出さない美学」だったはずが、もっともやっかいな存在となって表出することとなります。

白鳥の水面下の努力ではありませんが、美しく隠すためにはこまめな手入れなど、影の見えない努力をすることが大切なんですね。

ちなみに私は、自分のプライベート自転車に内蔵工作はしないです。そのぐらいフレームに負担がかかる工作なのです。まぁ面倒だというのもありますが…。