こんにちは、工場です。
競輪は本当に細かい要望が多い世界です。
心の中では、そんな夢みたいなフレームあったら私が選手になるわい、などと思っても決してそれを表には出さず、「わかりました、最善を尽くします」などと手術に臨む医師のような面持ちで応対します。
しかし彼らはプロですので、口先だけですともちろんバレてしまいます。ですので、寸法やパイプのチョイスだけでは「味付け」が足りないようでしたら、火加減だけではなくロウ材も箇所によって使い分け、なんとか結果を出す努力をします。
先代の工場長が使っていたロウ材が工場にあるのですが、ネットで品番を調べても何もひっかからず、さらに廃盤なのかメーカーのホームページにもありません。それでもなんとか調べると「ニッケルシルバー」だということが判明しました。
ですが使ってみると「流れ」が悪く、とても銀が入っているようには感じられません。(銀は溶ける温度が低いので、真鍮ロウに比べるとすぐ液化するんです) なんだかわからないのに競輪用には使えませんし、細々と小物を付ける時に使っていました。
ところが先日、偶然にもそのメーカーの営業の方が工場にいらっしゃって、そのロウ材の正体がわかりました。
「それ、ニッケルシルバーって言ってますけど、シルバーは入ってないんですよ。」
え?何それ! シルバーとちゃうんかいっ! 衝撃の事実です…。日本海の白身魚の刺身定食とか言ってるのに実はナイルパーチでした、みたいなぐらいの衝撃です。
詳しい内容がわかって本来ならスッキリ!となるはずですが、なんだかモヤモヤします…。
まぁでも使う箇所の方向性がはっきりしましたのでヨシとしますか…。