寸法の話⑥

こんにちは、工場です。

前回のフロントセンターを引き継ぎつつ、今回はオフセットとトレールについてです。

ではさっそく、あるメーカーの寸法表です。

DSC_3333 「F]の箇所がオフセットです。

前回チラッとご説明したように、みごと同じ数字がならんでいます。一般的には、オフセットはピスト→ロード→ツーリングの順で数字が大きくなります。

メーカーが出している数字は、その車種の平均値にそのメーカー独自の考えを投影したものでしょうが、オーダーフレームの作り手としては、すべて同じ数字がならぶのは、やはり違和感がある部分です。

このオフセット、数字が大きければ安定するという訳ではありません。そこにはトレールという直進安定性を示す数字が深く関わります。

オフセットが25でトレールが65の自転車と、オフセットが60でトレールが45の自転車でしたら、走る条件にもよりますが、前者の方が安定性を感じられるのではないでしょうか。

○○だから△△と単純にはいかず、フレームを考える上でも難しい部分です。

平成7年にNJS(現JKA)より配られた冊子に、このような箇所が。

DSC_3334 競輪車両についてです。

今から23年前ですので現状は少し違いますが、これを見てもわかるように、なかなか範囲が広く、今までのどの部分よりも正解が見えません。

競輪では、コーナーの入りはうまくいくけど出る時に内側をしめられない…とか、微妙な修正に私はこのオフセットやトレールをいじります。その人のもう少しだけこうしたい、に応えるのがこのオフセット・トレール・フロントセンターであることが多いです。

ちなみに先ほど出したオフセット60でトレール45というのは、あるツーリング車の数字です。最近はロードレーサーに荷物を載せてツーリングする方もいらっしゃるので、いつの間にかリヤに荷物を積むことがメジャーになっていますが、本来積載の基本はフロントです。

そう、トレール45という不安定な(よく言えばキレがいい)数字は、重い荷物をフロントに載せることを見越しての数字なんですね。

そうしたフレーム特性を知らずに、リヤに荷物を載せればふらふらして進めたものではありません。一見同じように見えるフレームでも、このように数字にそれぞれ明確な特性があります。

私はよく「多目的フレームが嫌い」と言っています。それはせっかくの自転車という繊細な乗り物を大味にしてしまう数字しか出せず、とてもつまらなくしてしまうからです。(とは言いましても、現実にはそんなに多くの自転車を所有するのは難しいですが…)

今の自転車がふわふわするな、と感じたら、次のフレームはトレールを大きくすると解消することが多いです。

トレールは、今よりもヘッド角を寝かせる/シート角を立てる/フロントセンターを短くする/トップチューブを伸ばすのどれかをすれば大きくなります。もちろんミックスしてもいいです。

例えばフロントセンター575でトレール58なら、570にすれば63になります。

逆にモタモタとキレが悪いようでしたら、上の逆をすればいいのです。実際にはそんな単純ではありませんが、考え方のひとつとして覚えておくと便利です。

ちなみに私のバイク、ホンダVTRのトレールは92です。バイクが直進安定性に優れ、倒れにくいのには理由があるんですね。

さて次回は最終回。フレームサイズについてです。本当はこれが最初に来なければならないのかもしれませんが(笑)

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