こんにちは、工場です。
寸法の話も回を重ねていますが、少しはお役に立てていますでしょうか?
今回はフロントセンター、競輪では「前半」という人が多いですね。そこについてです。
ある選手が、頑なにフロントセンターの数字を変えようとしませんでした。
その理由を聞いてみますと…
「だって、フロントセンターは身長プラス400が一番いい数字なんですよね?」
とのお返事。
身長が175センチなら400足して575ミリが最適数字、ということらしいです。
うーん…。確かに否定はしません。私も初めて作る選手ですと、ぶっちゃけその考えをベースにして伸ばしたり短くしたりすることもあります。(ピストの話です)
ですが「絶対最適」ということはないかと思います。
前回の例として挙げた選手は、身長165センチですが彼の前半はというと…
ところで、「つるし」といわれる既製品とオーダーフレームの大きな違いとは何でしょうか?
私は決定的な違いはフロントフォークだと思っています。例えば既製品フレームのSサイズとMサイズでは、パイプの長さはもちろん角度も違うのに、オフセットは両サイズとも45とか50とか同じであることが多いです。
時々フォークの実物大「型紙」を持ってくる選手がいます。「この曲がりの脚でオフセット36で」などと言われます。私は選手により、曲げ方や切り位置はすべて変えています。競輪にとって、それほどフロントフォークは重要なのです。
ですが、既製品はそんなに色々な種類を作っていては、コストがかかります。ですからフォークは1~3種類ですべてのサイズをカバーします。そうしますと、そこから逆算してのフロントセンターや角度となります。
すると時には、フレームサイズが大きい方がフロントセンターが短い、などという「逆転」も起きます。
フォークの自由度があればフロントセンターの選択が拡がり、角度まで意識がいくのです。ですが、まずオフセットが固定されてしまうと他の自由度も下がり、結果的にメーカーが違えど似たり寄ったりの寸法になるのです。
入門モデルで、どのメーカーが良いか友人に尋ねられた時、私が乱暴に「別に自転車なんて好きな色で選んだら?」などとイジワルく言うのは、オフセットが同じようなことによるメーカー寸法の無個性を思うからです。(お客さんには、もちろん丁寧に説明します!)
例えば最初に乗られた自転車が、もったりするなぁ~と感じたら、その次はそれを解消してくれそうなフロントセンターとトレールを選べば良いかと思います。
フレームにおいて、他の寸法が骨格や筋肉量で決まっていくのに対し、フロントセンターは、上記の選手のように他の要素が決定して初めて「正解」が導かれる数字です。
では次回は、それに関わりが大きいオフセットとトレールの話です。