寸法の話①

こんにちは、工場です。

先日テレビで、初めてのスポーツバイクを買うという番組がありました。

限られた時間の中なので仕方ないのでしょうが、まるで「昔々、おじいさんと犬がいて、ワン!と鳴いたら花が咲いて、大判小判でめでたしめでたし」というぐらい、あっという間に結論が出ていました。

さすがにあまりに雑すぎて驚きました。

せめてこのブログをご覧になってくださる方は、もう少していねいにという思いが出ましたので、順番にお話しようと思います。

あくまで私個人の意見ですので、絶対ではありません。

しかも最近は技術の向上で、剛性も自在に作れるようになり、○○だから××ということも少なくなってきましたが、考え方のひとつとして、今後の選択の参考になればと思います。

さて、1回目はシート角についてです。

骨盤を立てて乗ったほうがいいって言うけど、それならシートの角度も立っていたほうがいいんじゃないの?

ーいやいや、そんな単純ではないんですね。そもそも人それぞれ骨格が違うので、何度をもってして「立っている」というかも定義できません。

これはある選手の寸法表です。

DSC_3302 個人情報部分を軍手で隠しています。すみません。

この選手、シート角だけ見ますと83度→78度→78度→76度と作っています。1度は12㎜ですから、最大84㎜も差があるものに乗っているのです。

これは競輪の戦法や作戦が関係しており、ここまでのものになっています。一般の方でここまでのふり幅はまずないでしょう。

一般の方は、車種にもよりますが、ロードバイクならできれば「寝ている」方が長い時間乗りやすく、自転車用の筋肉もつけやすいです。わざわざ筋トレなどしなくても、自転車用の筋肉は自転車でつけられます。

例えば購入候補の自転車があって、Aのシート角は74度、Bは73.5度でしたらBの方がいいと思います。

ちなみに、シート角は立てるほど楽にこげます。

ならば立てた方がいいのでは?と思いますよね。そうなんです。もし即効性や楽を求めるなら立ったフレームの方に軍配があがります。

もし通勤のみで、乗る距離も短いのでしたら、前の例でいくとAを勧めるでしょう。

ですが、長い目で見ますと、太腿の上辺部分だけしか使いませんので、同じ筋肉を使い続けることで筋肉はボケてきますし、股関節の稼動域も狭まります。長距離では突き上げ振動が腰にきますから、あまり良いことはありません。

「速くなるから」と言って、やたらサドルを前に出しはじめたら、「筋肉ボケ」が始まっているかギヤ比が合っていないのかもしれません。

以前、競輪にはシート角の規制がありませんでした。そのため、選手がフレームを作る度にどんどん角度を立てだすと、力がなくなって引退が見えてくる感じがありました。

余談ですが、私は90度まで作ったことがあります。その選手は、77度から始まりそれが最後のフレームとなり引退されました。

楽しく自転車に乗るには、多少なりともフィジカルの向上も必要です。是非勇気を持って、迷った時には寝ている角度を選んでみてください。

その後の乗り方やポジショニングについては…どうぞご相談ください。実際に見ないことにはやはりなんとも言えません。

書きたいことは山ほどあるのですが、読んでいただかないことには意味がないのでこのへんでやめておきます。

あれ?私も結論を急いだあの番組みたいになってしまったかな?

がんばります。

次回はシート角度と密接な関係のトップチューブ長についてです。

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