こんにちは、工場です。
もう生き延びることが、サバイバルゲームのような気がするほど猛暑の日々です。ただフレームにとっては、ロウ付け後も急激に冷えないので良い環境ですが…。
さて、先月に続き今月のサイスポも、パイプメーカーのカイセイさんが掲載されていました。
こうした「縁の下の力持ち」的な存在に、スポットがあたるというのは個人的には嬉しいです。
ここ数年のクロモリ人気を受けての特集でしょうか。けっこうなページ数がさかれています。
ですが、もっと現実も一緒に取り上げてほしいな、と思います。
と言いますのも、フレームの修正・修理は頻繁にあるのですが、みなさんクロモリフレームに対して誤解されている部分が多いからです。
多くの方が「鉄は永遠」というベースをお持ちです。クロモリフレームは10年でも20年でも孫子の代まで同じパフォーマンスを保つ、と。
なので、持ち込まれた時に「直すのは厳しいです、これはもう寿命ですね。」と申し上げますと、「え?だってクロモリですよ?」という反応をなさいます。
鉄を含む工業製品は、年数による経年劣化や、使用することによる消耗、紫外線や湿気によるダメージなど、人間と同じく日々劣化していきます。
まして自転車に使うパイプは、薄ければ0.35ミリ、厚くても1ミリ程度です。空気中の湿気でも錆びてしまう鉄でその肉厚、とても「永遠」を約束された素材ではありません。
そもそも熱に弱いのに、1000度近い熱でロウ付けしているのですから、そのダメージで「生まれたときから死に向かっている」のです。
塗装してあるしクリアーもしているし、と思われるかもしれませんが、塗装をする前に「酸洗い」をするので、実はその酸が残り、外だけではなく中からもサビはくるのです。
しかも塗装やクリアーは密閉ではありません。呼吸できます。空気中の湿気を取り込んでしまいます。
フレームのサビは食品でいえばカビと同じです。そこからどんどん傷みが拡がります。最悪折れたり割れたりします。
例え錆びが出なくても、使用による劣化は避けられません。ちなみにパワータイプの選手ですと、薄いパイプを使って3場所(9日間)で「ヘタって最初のパフォーマンスがなくなった」と言う人もいます。
それほど繊細なクロモリパイプ。実はか弱いということを頭の片隅に、どうぞあまりいじめずに、丁寧にメンテナンスをしながらお使いくださいね。
作られていらっしゃる方の言葉は、重みがありますね。
切ないですけど、「生まれたときから死に向かっている」って、存在全てに言えますから。
何台かクロモリフレームのバイクを所有しておりますが、大事に乗っていこうと思います。
コメントありがとうございます。
クロモリをお持ちなんですね。作り手としては嬉しいです。
何かお困りごとがございましたら、どうぞご相談ください。
ありがとうございました。